近大病院が来ても「影響ない」?
公園つぶしに住民猛反発 運動場など別の場所に移せば 「売却の必要なし」
近畿大学医学部の泉ヶ丘地区への移転について、堺市は11月17日、地元の三原台校区の住民を対象に住民説明を開いた。堺市や近大は住民の要望を受けて施設の配置などを見直したとし、緑の保全に取り組む考えを示したが、住民らは泉ヶ丘プールをはじめ田園公園の敷地を売却しなければならない理由を説明していないと反発。計画への理解を求める市や近大に対し、住民らは計画の白紙撤回を訴えるなど、最後まで議論はかみ合わなかった。
説明会は午後7時から三原台小学校体育館で行われ、住民約470人が参加。市や近大の説明によると、建物の高さをできるだけ低くしてほしいとの要望を受け、今年5月に住民に示した計画を見直し。学部棟の一部を1階程度低くするほか、更に一部の建物についても低くすることを検討するという。
また、市は地区内の公園の再整備を進めるほか、緑道の拡幅や街灯のLED化を行い、安心して緑道を通れるようにするなどとした。
これに対し、住民からは「そもそも、公園の売却について事前に住民に説明がないのはおかしい」「市は住民ではなく、近大を第一に考えて計画を進めているのではないか」などの批判の声が続出。市は「大学病院の開設は、泉ヶ丘地区の街づくりに大きな効果がある」などと理解を求めた。
しかし、住民らは納得せず、「体育館やグラウンドといった大学施設を別の場所に設ければ、公園敷地がなくても大学と病院は建設できる」「大学と病院は必ずしも同じ敷地である必要はない」などと指摘。さらに「府と市、近大の3者協定で公園の売却を約束しているが、公園の廃止には都市計画審議会の了承が必要で、手続きを踏むことなく公園の売却を約束した協定は無効だ」との声が上がり、「移転計画は白紙撤回してほしい」の意見には会場から拍手が起きた。
結局、説明会は住民側と、市・近大側の意見がかみ合わないまま終わり、最後に西野彰記市長公室理事(ニュータウン地域再生推進担当)が「住民の意見を踏まえて今後も案の修正を図っていきたい」と言うのがやっとだった。(「泉北コミュニティ」2018年12月6日号)
市は「大学病院の開設は、泉ヶ丘地区の街づくりに大きな効果がある」などと理解を求めた。
と言われましても、その内容は全然わからないのが、興味深いなあと思って。(*'ω'*)
おまけにそのすぐ隣には、こんな記事が載っていまして。
近大病院がなくなっても「影響ない」が70% 狭山市が周辺事業者にアンケート
近畿大学医学部附属病院が狭山ニュータウンから移転しても、周辺事業者の約70%が経営に影響がないとみている。大阪狭山市が7月に実施したアンケート調査で分かった。
調査は「近畿大学医学部附属病院の移転による事業経営への影響」について。
商工会会員で西山台、大野台のニュータウン地区と、一部周辺地域(東くみの木、くみの木)で活動している事業者に実施。191件配付、約53%(102件)から回答があった。
回答者の業種は「販売」が約11%、「建設・建築」「飲食店」「美容・理容店」がそれぞれ約10%、「不動産」が約8%を占める。営業年数は20年以上が約65%、11〜15年が約10%、5〜10年が約9%。
事業経営への影響について、約67%の事業者が「ない」と回答。「ある」と答えた事業者は約31%だった。
「ある」と答えた事業者のうち約78%が、病院関係者や学生、教職員、見舞客などの減少から売り上げが落ち込むと予測している。また、不動産の値下がりや空き店舗、空き部屋の増加を懸念している。
影響の度合いは、約30%の事業者が月額10 〜30万円、約20%が10万円未満とみている。ほかに30〜50万円と50万円以上と予測している事業者がそれぞれ約15%いる。
附属病院内には外来食堂、コンビニ、カフェが入居。外来患者や見舞客は院内でほとんど用が足りるようになっている。(「泉北コミュニティ」2018年12月6日号)
すごいなあ。7割が「影響ない」んだぜ。
だったら、泉北に近大病院が来ても、7割は影響ないよね?\(◎o◎)/!
ま、それは無茶な推論だけれど、
附属病院内には外来食堂、コンビニ、カフェが入居。外来患者や見舞客は院内でほとんど用が足りるようになっている。
がポイントですよね。
つまり、近大病院が来ることで、周辺事業者が潤うんじゃないかと期待する向きもあるかもしれないが、そもそも「院内でほとんど用が足りるように」作られるのに加えて、最近は施設内にラグジュアリーな施設を入れたり、多機能化が流行っているので、むしろ周辺から施設内への強力な誘因力が働くと考えるのが自然だろう。
近大病院ができると、既存の周辺事業者はかえって客足が減る可能性すらあるんじゃないか?
じゃあ、周辺住民はどうなのかと言えば、近大病院はあくまでも高次医療機関であり、「最後の砦」でしかない。
「でも、それは、いざと言うときに安心ということでしょ?」とおっしゃるかもしれないが、そのときにはまず1次、2次救急機関が対応するものであって、近大病院は南大阪唯一の大学病院として「南大阪全体の住民」の福祉に資するもの、と理解すべきだろう(周辺道路で予想される渋滞等のことを考えると、近隣住民の福祉はかえって低下するかもしれない)。
たぶんね、移転後の新しい近大病院では、
附属病院内には外来食堂、コンビニ、カフェが入居。外来患者や見舞客は院内でほとんど用が足りるようになっている。
と言わせちゃいけないんだよ。
そうじゃなくて、「町は大きなホスピタル ~町の道路は病院の廊下、各家庭は病院のベッド、電話はナースコール~」と言われるような病院活用、さらにはまちづくりをすべきだと思う。
でも、大学病院は、そういうところじゃない。
そのような役割はむしろ、近大病院の移転予定地からわずか3キロしか離れていないベルランド総合病院が担うべきであって、「南大阪、南河内の最高・最終の医療機関」たる近大病院が担う役割は違う。
そうすると、全国平均を上回るスピードで高齢化が進む泉北ニュータウン地域に住む私たちに必要だったのは、べルランド総合病院を「泉ヶ丘地区の街づくりに大きな効果がある」形で活用し、泉北のまち(@道路、家庭、ネットの位置づけ)の方をこそ、つくり変えることではなかったか(市側の発言として引用されたこの言葉、すごいな。「泉ヶ丘地区」だけって、とっても正直で近視眼的。´⊙ω⊙`)。
泉北ニュータウン内で約3万戸を数える公的団地が続々と建て替え・集約されていく中で、それにより生まれる広大な活用用地をいかに消費していくかは、昨今の役所担当者の大きな課題で、近大病院の移転は「渡りに船」だった可能性があるとはいえ…。
近大病院は駅前の1等地を手に入れ、役所は、土地整理・活用法と売却益・税収を手に入れ、地域住民は新たな&広範なかかりつけ医を手に入れるわけでもなく(それは基本的に1次医療機関の役割)、公園を失い、大学病院に行くほどのことがない限り立ち入らない広大なエリアと渋滞を手に入れる(かもしれない)。
せめて、旧高倉台西小学校の跡地活用(12月5日発表)みたいに、地域に開かれた病院開発・まちづくりがなされればとは思うが、まあ、そういうことじゃないんだろうな。 (ΦωΦ)
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