明日何をしますか。何をやめますか。

今年も始まりました。「泉北ニュータウン住まいアシスト事業」。


泉北の賃貸に入居の若年夫婦に家賃を補助 堺市

 堺市は今年度も、泉北ニュータウンの賃貸住宅に転居した若年夫婦・子育て世帯に家賃を補助する。申し込み基準日までに転居手続きなどを完了した世帯が対象で、申し込み受け付けは5月・7月・10月・1月の4回で各回1か月間。第1回の基準日は4月1日で受付期間は5月1日〜31日。

 この子育て世帯など住まいアシスト事業は10年度から始まり、堺市が泉北へ移住する子育て世帯へ家賃を月2万円(上限)、5年間で最大120万円補助する。昨年度は66世帯の申し込みがあり、合計492世帯から申し込みがあった。なお、若年勤労単身者世帯向けは17年度から受け付けを中止している。 (「泉北コミュニティ」2018年5月24日号


これについては以前も触れたが、政策研究大学院大学まちづくりプログラム・清瀬麻実「ニュータウンにおける若年層転入促進のための家賃補助政策の効果に関する考察」(2011年)において、大阪府堺市・泉北ニュータウンにおける若年世帯への家賃補助は、

家賃補助の実施により、若年世帯を誘導することはできるものの、補助を受ける人の多くの割合が補助がなくても転入する人となってしまうため、補助の効果としての増加人数は非常に小さくなることが示された。また、多様な世代が居住していることに外部経済があることは明らかでないことが示された。

と結論づけられている。

そして未だ堺市側からは、このような検証への根拠をもった反論(「補助の効果は大きい。補助が無ければ若年世帯は転入しないし、多様な世代が居住することによって外部経済が発生する、すなわち泉北の価値(たとえば地価)が上がる」)はなされていない。

というより、どこにそのニーズの高まりを見たのかは知らないが、平成29年度予算が6千3百万円あまりだったのに対して、平成30年度当初予算要求額が7千1百万円あまりと、いっそう力を入れよう(というか、金をかけよう)としていることが分かる(「堺市 平成30年度予算」からたどっていろいろ見たが、この事業単独の最終予算額を見つけられず…)。


堺市のような地方自治体も、まごうことなき「非営利組織」であるが、ドラッカー『非営利組織の経営』は、このように締めくくられている。

自己開発は哲学でも願望でもない、それは人としての成長である。同時に、貢献の能力の向上である。したがって、私はあなたに「明日何をしますか。何をやめますか」とお聞きすることによって本書の結びとしたい。(P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』ダイヤモンド社、2007年、p.240)


実に、個人も(非営利)組織も、変わらない。すなわち、組織開発は哲学でも願望でもない、それは組織としての成長である。同時に、貢献の能力の向上であろう。


未来のために今を生きることは、やり方によっては愚かな生き方になってしまうものだが、先日のエントリのように、「所属」「立場」「役職」「性別」「学歴」「年齢」「バリアフリーなまち、泉北」といった「入れ物」に自らを押し込まないためにも、私たちは明日、何をやめる必要があるだろうか。

泉北コモンズ(仮)

「コモンズ」のコモンには、”顧問”と、”common(共有の/共同の)”を掛けています。 泉北に暮らす人たちの顧問'sになれるように、泉北に興味がある人たちの共有地(commons)になれるように、コモンの輪を少しずつ広げていきたいと思います。 あなたもよければ、泉北のまちの住民、応援住民、ふるさと住民、そして私たちの仲間になって下さいませんか? 2040年代の泉北は、自分たち/D!Yで創る

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