私たちに必要なのは「心のバリアフリー」?
「泉北コミュニティ」(2018年3月22日号)のこの記事、皆さんはどう読まれただろうか?
障害者や高齢者に優しい泉北 竹山市政が破壊へ
泉北は日本有数のノーマライゼーションの街
槇塚台と晴美台を結ぶ歩道橋 「利用少ない」と撤去 泉北では初めて
槇塚台の近隣センター前の市道に設置されている歩道橋「ぽぷら橋」が撤去されることになり、1月半ばから工事が始まった。泉北ニュータウンでは街びらき当初から、障害者や高齢者も安心して街を歩けるよう各地区に緑道につながる歩道橋が設置されているが、その歩道橋が撤去されるのは今回が初めて。
ぽぷら橋は東西を通る車道に架かる歩道橋で、1972年の街びらきに合わせて設置。約45メートルの橋が東西に1本ずつあり、道路を挟んで北側にはスーパー「近商ストア槇塚台店」、南側には地域会館や郵便局、交番などがある。
市ニュータウン地域再生室の北野哲也参事によると、近商ストアが建て替えを計画したが、歩道橋が建物の2階部分と一体化しており、現状のままでは工事が不可能だった。また、歩道橋にはスロープやエレベーターもなく上り下りが大変なことから利用者も少なく、多くの人が歩道橋下の横断歩道を利用している。こうしたことを踏まえ、市はスーパーや周辺の槇塚台・晴美台の住民らと約2年協議。最終的に歩道橋を撤去し、再設置はしないことで合意した。
全議員が容認
市が、ぽぷら橋の撤去を市議会で明らかにしたのは、昨年3月の建設委員会。福西広志ニュータウン地域再生室参事(当時)が「槇塚台近隣センターではスーパーの建て替えが計画されており、建物と一体的な歩道橋の撤去を予定している」と答弁した。これに対し、西川良平市議(自民市民ク・中区)は「歩道橋の真横に横断歩道があり、わざわざ階段を上っておりるということはしない」と、歩道橋はあまり使われていないとして問題視しなかった。南区選出の城勝行市議(共産)も特に取り上げなかった。
その後、市は8月市議会で他の市道などの廃止とともに歩道橋の撤去を提案。特に質疑を受けることもなく、共産・自民など全議員が賛成した。
その後、同年12月議会総務財政委員会で小堀清次市議(ソレイユ・南区)がスーパー建て替えを取り上げたが、建て替え期間中の移動販売を約束させたことを称賛したものの、歩道橋の撤去については言及しなかった。〔山本裕〕
車道と緑道は立体交差 画期的だと国から表彰 しかもバリアフリー
解説 ノーマライゼーションとは、障害者や高齢者が健常な人らと等しく生きる社会・福祉環境の整備、実現をめざす考え方のこと。泉北ニュータウンは、この考え方に基づいて府企業局が街を作った。
例えば緑道(遊歩道)と車道との交差は、すべて立体交差(トンネルか歩道橋で)している。しかも歩道橋の場合は、階段以外に必ず付近にスロープが設けられており、車いすの人が車道を渡らなくてもいいように配慮がしてある。当時、全国でも画期的な街作りだったので、国から表彰された。各地から建築家が見学に訪れた。千里でも和泉タウンでもない、障害者やお年寄りにやさしい街なのだ。だから当時の厚生省は、泉ヶ丘駅前にビッグアイ(障害者交流施設)を建てた。
府も光明池地区にファインプラザ(障害者スポーツ施設)を。こんな施設がそろっているのは、全国でも泉北だけである。だから歩道橋は泉北のシンボルだ。
ところで近商ストアの歩道橋は、槇塚台と晴美台との緑道を結ぶ役割をしている。当初、地域会館の屋上はスロープ状になっていた。近商ストアの2階隅っこにはエレベーターがあった。槇塚台からスロープを渡って、エレベーターで1階に降りられるようになっていた。近商は2階をダイソーに貸す時に、エレベーターを閉鎖。地域会館も建て替える時に、屋上のスロープをなくし通行止めにした。
府企業局は、ノーマライゼーションを堺市に引き継いでもらおうと、昭和61年春に『泉北ニュータウンの建設』を出版。堺市や泉北の議員に配った。〔さらがい〕(「泉北コミュニティ」2018年3月22日号)
まず私が気になったのは、「この記事を書いた方は、近隣の住民に話を聞いてみられたのだろうか?」ということ。(「ああ、あの歩道橋ね、誰も使うてませんよ。横断歩道を渡ればいいんやから、わざわざ登って降りる人なんていないんとちゃう?」と言うんじゃないのか。)
それに、堺市×スーパー×周辺の槇塚台・晴美台の住民らと約2年協議して、最終的に歩道橋を撤去し、再設置はしないことで「合意」したんだから、ええんとちゃう? と思う。
(住民の意思を反映する)市議会でも、「歩道橋の真横に横断歩道があり、わざわざ階段を上っておりるということはしない」と同様に認識されて、「全議員が賛成」したんだから、何の問題があるのか。
記事の後半で問題にされるのが、泉北ニュータウンにおける「ノーマライゼーション」と「バリアフリー」だ。
千里でも和泉タウンでもない、障害者やお年寄りにやさしい街なのだ。
とあるが、私は、障害者やお年寄りにやさしい街「だったのだ。」(過去形)ということだと思う。
千里ニュータウンは近年、急速に再開発が進んで、泉北よりはるかに障害者やお年寄りに住みやすい街になっている(と思う。←笑)。
そりゃ、まちびらき当初はノーマライゼーションにおける先進地区だったかもしれないが、それからもう50年が経ったわけで…。(*'ω'*)
歩道橋は泉北のシンボルだ。
ともあるが、これも違うと思う。それを言うなら、「緑道は泉北のシンボルだ。」だろう。(`・ω・´)キリッ
それに、「こんな施設がそろっているのは、全国でも泉北だけである。」というのも、施設(ハード)の充実を誉めそやすという意味で、時代錯誤的。(「泉北コミュニティ」はこれまで、そういうのを糾弾してきたのではなかったか?)
時代は、ハードのバリアフリー(だけ)でなく、心のバリアフリーこそが重要という方向に舵を切って久しい。
・・・というわけで、同じ内容を取り上げるにしても、
- 近商ストアの建て替えを邪魔するバリアだった歩道橋を撤去
- 建て替えでアプローチのバリアフリー化を推進、より利便性の高いスーパーに
といったタイトルが、ごく自然にありえたんじゃないか。(というか、ハード面で半ば使えなくなっている歩道橋を、後生大事に残しておいてもしょうがない。むしろ年数の経ったハードを更新していくことは日本中の大きな課題で、泉北においてもその第一歩が始まった、と称賛すらしても良かったと思う。)
「バリアがあるのは、あなたの心の中ではないですか?」「この記事こそ、勇み足ではありませんか?」と言われても仕方がない…ように思うんだけど、どうなんだろうか。(´◉◞౪◟◉)
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