堺市の2017年度当初予算案で、泉北ニュータウンが大フォーカス!

昨日2/21の朝日新聞朝刊(大阪本社版・地域面)によると、どうやら、そういうことらしい。


 堺市は20日、2017年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は4151億円(前年度3856億円)。前年度に比べて295億円増えた。教職員の給与などが府から市に移管される分を差し引くと3764億円となり実質2年ぶりの前年度比マイナス。竹山修身市長は「子育て支援と教育に力を入れた。街開きから50年の泉北ニュータウンの活性化にも重点を置いた」と話した。(中略)

 南区の泉北ニュータウン(NT)の再生にも力を入れる。同区は2016年、転出超過数が1655人で近畿の市区町村で最多だった。UR(都市再生機構)と協力して、若い世代を呼び戻すため、団地1階をカフェなどに改装する再生事業などに1億2千万円投じる。NT在住のシニア世代らに翻訳や料理など得意な分野で起業してもらうためのセミナーなどを開き、起業支援を実施する。(村上潤治)朝日新聞2017年2月21日朝刊


「同区は2016年、転出超過数が1655人で近畿の市区町村で最多だった」という衝撃ニュース(新しくはないけれど)がさらっと挟み込まれているのはさておき、一般市民がアクセス可能な原資料は、たぶんこれ→。堺市トップページ>組織(局・区)別の予算要求概要と予算編成過程>建築都市局


このページの中の、ニュータウン地域再生室>泉北ニュータウン再生推進事業に、1億3,816万円の予算要求額に対して、1億2,260万円の最終査定額がついている。この予算要求には参考資料があり、さらにその査定状況を見ることで、朝日新聞の記事内容を確認できる。


・・・けど、この記事、おかしくない?

「UR(都市再生機構)と協力して、若い世代を呼び戻すため、団地1階をカフェなどに改装する再生事業などに1億2千万円投じる」と書かれているけれど、「公的賃貸住宅のリノベーション支援事業」にはわずか1,033万円しか予算要求されておらず、とくに重点が置かれたとは言いがたい(2016年度の予算500万円に比べても、533万円しかアップしてない)。

むしろ、2016年度の予算がゼロだった「泉ヶ丘駅及び栂・美木多駅前再整備事業」に対しては、新たに2,087万円の予算要求がされており、こちらの方がはるかに大きな変化だ。

そんなことを言いだしたら、「泉北ニュータウン再生府市等連携協議会事業など」は、2016年度予算の766万円に対して、2017年度の予算要求は2,052万円に上り、こちらの伸びも著しい。

「泉北ニュータウンまちびらき50周年事業」の2016年度予算の100万円から、2017年度要求1,100万円への伸びについては、この記事の頭で、「街開きから50年の泉北ニュータウンの活性化にも重点を置いた」という市長発言を引用したことで、すでに言及しているといえる。

でもさ、そもそもこの「泉北ニュータウン再生推進事業」全体の予算要求の過半を占めているのは、「泉北ニュータウン住まいアシスト事業」の7,012万円(2016年度予算は6,431万円でやっぱり過半)なんですよね? だったら、それをさらに増額した、などの書き方をする方が、まだ誠実だったんじゃないかなあ。


「泉北ニュータウン住まいアシスト事業」と泉北ニュータウン再生の関係については、また項を改めることにしたいが、まさにこの事業を検証した、政策研究大学院大学まちづくりプログラム・清瀬麻実「ニュータウンにおける若年層転入促進のための家賃補助政策の効果に関する考察」(2011年)によると、


家賃補助の実施により、若年世帯を誘導することはできるものの、補助を受ける人の多くの割合が補助がなくても転入する人となってしまうため、補助の効果としての増加人数は非常に小さくなることが示された。(p.1)


2400万円もの費用をかけて、補助の効果として16世帯しか移住させられない。

以上のように、情報の非対称による非効率と財政的な負担を考えると、このような家賃補助政策は、問題があるのではないかと考える(p.19)


とあって、まあひどい結果と言われようなわけである。


そんなこんなで、突っ込みどころ満載のこの記事の最後は、「NT在住のシニア世代らに翻訳や料理など得意な分野で起業してもらうためのセミナーなどを開き、起業支援を実施する」とあって、おいおい、起業セミナーの対象は、若い勤労世代じゃなくて、シニア世代なんかーい!とずっこけた。


うーむ、世間は、複雑怪奇だなあ。

泉北コモンズ(仮)

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