ときめく組織論(第8話)
私のことでいうと、大学で長らく「働くこと」「仕事」について、その中でもとくに「介護労働(ケアワーク)」に焦点を当てて研究していましたが、 その学びを通して、
①高齢者問題
(人生の最後の時期を自宅で暮らし続けることは大変難しい。施設や病院に入っても、幸せな老後は約束されず、可能な限り地域で支えられる体制づくりが欠かせない。)
②働き方の問題
(とくに地域福祉の要となるホームヘルパーは、賃金が安いこともあり、担い手が偏っている(中年主婦)。男性や若い人が働ける職場にしないと、 今後の在宅生活は支えきれない。)
③福祉NPOにおける経営の問題
(「思い」はあっても、中身・経営が伴わない。資金難、中心メンバーの疲弊と後継者不足、メンバーの高齢化が顕著になりつつある。)
④「助け合い」の不在
(困っているなら、交代で、助け合えばよい。でも、現実にはみんな目の前のことに精一杯で、 助け合うシステム・ネットワークを作れていない。)
といった問題に気づいてしまったのでした。
研究というのは、現場の二歩も三歩も後からついていくものだけれども、研究を続ければ続けるほど、「それは自分の問題じゃない」というわけには行かなくなったのです。
地域のNPOで働くようになったのは、結局のところ、知ってしまったことから逃げきれなかった、というのが正直なところです。
(つづく)
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